糖尿病

糖尿病糖尿病は、インスリンという血糖値を下げるホルモンが不足する病気で、慢性的に高血糖状態が続きます。糖尿病は初期の頃には自覚症状がほとんどありません。しかし、高血糖状態が長く続くと、目・腎臓・神経など全身の様々な臓器に障害をもたらします。
健康診断で血糖値やHbA1c値が引っかかった方、のどの渇きや頻尿などの症状がある方は一度受診し治療の必要があるかどうか医師に相談しましょう。



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血糖値とHbA1c

血糖値とHbA1c

血糖値は常に変動しており、直前の食事や運動・ストレスなどの影響を受けます。一方で、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は過去1~2ヶ月前の血糖値を反映しますので、当日の食事や運動など短期間の血糖値の影響を受けません。空腹時血糖値は健康診断の直前に食事制限をすると良好な数値になることもありますが、HbA1cの数値はあまり影響を受けないため、直前だけよい食生活をしたことがわかってしまいます。糖尿病の診断や治療効果判定などには、空腹時血糖に加えて、このHbA1cを用います。

糖尿病の診断

糖尿病の診断基準

糖尿病の診断は、①空腹時の血糖値、②随時血糖値、③75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値、④HbA1c、の4つの検査結果を使用します。そのほかにも糖尿病の症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)、糖尿病性網膜症の有無、などの所見も参考にします。

糖尿病は、①〜③のいずれか1つ+④もしくは糖尿病症状もしくは糖尿病性網膜症があれば診断します。①〜④のうちいずれか1つが確認されれば、糖尿病型と診断します。後日再度検査を行い、①〜④が見られれば、糖尿病と診断されます。

インスリン抵抗性ってなに?

インスリン

インスリン抵抗性があるとは「インスリンの効き具合」が下がっていることを意味します。つまり膵臓からインスリンが血中にきちんと分泌されているにもかかわらず、その作用が鈍くなっている状態ということです。運動不足や食べ過ぎが原因で肥満になると、インスリンが働きにくくなりインスリン抵抗性が増加します。
糖尿病の方ではインスリンの分泌低下に加えて、インスリン抵抗性によりインスリンの効きが悪くなって血糖が高くなっているのです。そのため、糖尿病の治療ではインスリンの分泌をあげると同時に、インスリンの抵抗性を改善することも重要な課題となってきます。インスリン抵抗性を改善するためには、運動により筋肉をつけ体重を減らすこと、薬物治療を行うことが必要です。

糖尿病の3大合併症

糖尿病の3大合併症

高血糖状態を放置した場合、様々な合併症が出てきます。糖尿病における3大合併症は、「神経障害」「網膜症」「腎臓病」です。神経障害や網膜症はおおよそ5-10年で出現し、腎臓病は10-15年で出現してきます。神経障害は手足に痛みやしびれを感じます。網膜症では、目のかすみや視力の低下が起こり、進行すると失明する場合もあります。腎臓病は、タンパク尿が出てむくみや貧血になり、進行すると人工透析が必要になります。そのほかにも、心筋梗塞や脳梗塞・動脈閉塞などの血管疾患になりやすくなり、また免疫力が低下しインフルエンザや結核もかかりやすくなり注意が必要となってきます。

糖尿病の治療目標

糖尿病の治療目標

糖尿病治療の目標値は、HbA1c値を目安に行なっていきます。外来にて定期的にHbA1cを測定し、値を見ながら薬を調整したり、食事などの生活指導なども行なっていきます。一般的なHbA1c目標値は7.0%未満ですが、患者様の個々の状態に合わせて目標値を調整します。当院ではHbA1c を院内で測定しており、指先からごく少量の血液を採取することで検査ができます。

食事療法

食事療法は、適切なエネルギー摂取量を取ることで肥満を解消し、血糖値下げる効果があります。それ以外にも、併存する脂質異常症や高血圧なども改善することができます。
適切なエネルギー摂取量は、身長から計算される標準体重に身体活動量をかけることで計算できます。糖質を40−60%程度、タンパク質を20%程度、脂質を20%程度にして25%以下に抑えるようにしましょう。

エネルギー摂取量の目安

運動療法

運動療法運動療法は、有酸素運動と筋トレ(レジスタンス運動)を組み合わせます。

有酸素運動

  • 有酸素運動は、脂肪を燃焼し体重が減少するとともに血糖値やHbA1c値が低下します。ウォーキングする女性
  • 一日30分以上を、週3回以上行うことが望ましい。週合計150分以上となると良い。
  • ウォーキング・ジョギング・水泳・サイクリングなどがあります。


レジスタンス運動

  • 有酸素運動と並行して行うことで、よりインスリン抵抗性が改善し血糖値が低下します。スクワットする女性
  • 腕立て伏せやスクワットなどの運動を1日1〜3セット、週2〜3回の頻度で行うと良いでしょう。




薬物治療

糖尿病の薬は、種類や数が非常に多く、とても複雑化してきています。インスリン分泌を促すもの、インスリン抵抗性を改善させるもの、糖質の吸収を抑えるもの、糖質の排泄を増やすものなどがあります。患者様の状態に合わせて薬を調整しますが、まずはビグアナイト薬を使用して、改善がなければDPP-4阻害薬やSGLT2阻害薬などを併用します。それでも改善しない場合は、他の薬剤をさらに併用します。場合よってはインスリンの導入や糖尿病の専門科へ紹介します。

薬物治療
HbA1c 7.0%

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