「喘息の患者さんによい食事とは何でしょうか?」と聞かれることがあります。実は特定の食事やビタミン剤などの補充が喘息によってよいという科学的な根拠は今のところ少ないと考えられています。
過去の研究によると、子供の頃にビタミンDやフルーツを多く摂取すると喘息を予防する効果があるという報告がありますが、そうではないという結果を報告している研究もあり、その効果に関しては疑問の余地があります。(Allergy. 2016 Apr;71(4):433-42.)
またビタミンDは脂溶性ビタミンでもあり、過剰摂取すると体に蓄積し悪影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。
世界の喘息ガイドラインをみてみると、喘息にとっては「肥満」を改善することが重要で、そのために適度な運動とフルーツや野菜を多く摂取することを勧めています。
喘息のコントロールとって「肥満」はとても重要な要素です。肥満のある患者は、喘息の治療がうまくいかないケースが多いということが様々な研究でわかっています。
これにはいくつかの原因が考えられています。
・内臓脂肪が横隔膜を押し上げることで、呼吸がしにくくなる
・肥満細胞から炎症性物質が放出され、気管支の炎症が強くなる
・逆流性食道炎の悪化により気管支喘息が悪化
・気道過敏性が悪化する
そして肥満のある喘息患者さんに、食事と運動によるダイエットを行うと喘息のコントロールがよくなったという報告もあります。(Chest. 2023 May;163(5):1026-1037.)
まとめると、肥満のある喘息患者さんでは、フルーツや野菜を多く摂取し適度な運動とも併せて体重を減らすことが最も重要であると言えます。