間質性肺炎ってどんな病気？
間質性肺炎は肺が徐々に固くなっていき、咳や息切れなどの症状が出る病気です。世間一般でいわれる肺炎は肺に細菌が入ってきて炎症を起こすことで発症しますが、間質性肺炎は同じ肺炎という名前がついてもこれとは全く違う病気になります。国の指定難病となっており、呼吸器の病気の中でも治療が難しい病気の一つです。有名人では、美空ひばりさん、星新一さん、最近では上岡龍太郎さんがこの病気で亡くなっています。
当院院長は、長年間質性肺炎の研究を行なっており、多数の論文を執筆して参りました。検査や治療に関して、ご相談のある方は一度当院へお問い合わせください。
症状や原因は？
間質性肺炎の主な症状は、咳・息切れ・呼吸困難です。多くは数年の経過でゆっくりと発症しますが、急激に悪化することもあります。間質性肺炎の咳は時にとても頑固で、乾いた咳が続きます。聴診すると捻発音（ねんぱつおん）というバリバリといった音が聞こえ、指にバチ指といった特徴的な所見が見られることがあります。
原因としては、膠原病・アレルギー(過敏性肺炎)・粉塵・職業性・遺伝性など様々なものがありますが、原因不明であることも多くあります。原因の特定には医師の詳細な問診が重要となってきます。特に過敏性肺炎では、住居環境が重要で、自宅のカビ・羽毛布団・鶏糞・加湿器の中のカビなどが原因となることがあります。
診断や検査方法は？
間質性肺炎の方には、胸部レントゲン・C T検査、肺機能検査、血液検査などが行われ、以下のような所見が見られます。
- 胸部レントゲン・C T：
すりガラス影や網状影、進行すると蜂巣肺(ほうそうはい)と言って蜂の巣のような形状をした箇所が見られることがあります。蜂巣肺が見られる場合は、特発性肺線維症と呼ばれるタイプことが多く、通常よりも悪化する可能性が高くなります。 - 肺機能検査：
肺が硬くなるため広がりにくくなり、肺活量が低下します。間質性肺炎では、個々の患者さんで悪化のスピードが異なるため、肺機能検査で病状の進行具合を定期的に調べることが重要です。肺活量が年間５−１０％程度低下していく場合は、余命が短いと言われています。 - 血液検査：
KL-6やSP-Dなどの検査値が間質性肺炎の病状進行とともに上がってきます。
間質性肺炎はいくつかのタイプに分類されます。その中でも重要なのが、特発性肺線維症というタイプで、治療が難しい病気になります。経過や画像所見・血液検査所見などをもとにどのタイプに分類されるか判断します。場合によっては、気管支鏡検査や外科的肺生検などの精密検査が必要になることがあります。
治療は？
間質性肺炎の治療は、非常に難しく、上記のタイプ（間質性肺炎のタイプ分類）によって治療方法が異なります。
間質性肺炎の中でも特発性肺線維症というタイプでは、治療薬は主に二つあり、ピルフェニドン(薬品名：ピレスパ)とニンテダニブ(薬品名：オフェブ)が使用されます。主に肺機能が悪化するのを防ぐことが目的です。間質性肺炎の患者様の中でも、治療を行う必要があるかどうかに関して呼吸器内科専門医の判断が必要です。
特発性肺線維症というタイプは予後が不良で、診断から2-5年で亡くなられることが多いと言われています。経過中に急激に病状が悪化する急性増悪が起こることがあります(5-10%/年)。ただ最近では、上記のような薬を使用しながら長期間病気と付き合いながら生活されている方も多くいらっしゃいます。
そのほかのタイプの間質性肺炎（非特異性間質性肺炎や器質化肺炎）では、ステロイドや免疫抑制剤などの治療薬が効果あります。
難病申請で医療費助成が受けられることがあります
特発性間質性肺炎は指定難病に指定されており、いくつかの基準を満たした場合については、難病医療費助成制度により医療費の助成が受けられます。またそのほかに、各種民間サービス(電話料金やタクシー運賃)などの割引を受けられます。申請基準を満たすかどうかに関しては、専門的な知識が必要となりますので、呼吸器内科専門医の意見を聞く必要があります。
院長からのメッセージ
間質性肺炎は呼吸器内科専門医の中でも、診断や治療が非常に難しい病気です。当院院長は、長年間質性肺炎の臨床研究・基礎医学研究に携わってきており、豊富な経験があります。また名古屋大学病院などとも医療連携しており、他院で間質性肺炎を指摘されてどうしたら良いか困っている場合など、一度当院にご相談ください。
